「能率手帳」で知られる,日本能率協会マネジメントセンターの代表取締役会長 野口晴巳氏が著者である「能率手帳の流儀」は,よくある手帳術の本ではありません。著者の仕事・人生に対する考え方と,著者が手帳とともにどのような人生を送ってきたのかが書かれていて,非常に面白い内容でした。
たいていの手帳術の本は,人生の目標をぶち上げて,それを細かなステップに分けて TODO を列挙して一つずつクリアするという内容です。私はいつも「人生の目標」が分からず,この段階でつまずいてしまいます。これに対して本書では「明確な目標を描き出せるのはごく稀なケース」であるとし,著者も大きな目標は書かないと言っています。
能率手帳の流儀では「やったこと」を書き,それを振り返る,この「書く」,「振り返る」を繰り返し,「今」「ここ」に全力を尽くして未来を切り開いていくという内容です。著者が経験の上書いているので説得力もあります。
この本で一番印象に残っているのは,「書きとめられなかったできごとは,そのうちにあなたの前からすべて消えてしまいます。嬉しいことも悲しいことも,全部消えてしまう」という一文です。読んだ時に自分の手帳を見返したのですが,書かれている通り過去が消えかけていました。そのとき不思議な「怖さ」を感じ,以後こと細かに書くようになりました。
とにかく,手帳に興味があろうとなかろうと,この本を読んで損はないと思います。
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来年は能率手帳を使ってみようかと思い読み返しました。
次の URL に著者の手帳が出ています。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20071113/140522/