タイトルが気になり「ウェブはバカと暇人のもの」を読みました。
著者はニュースサイトの編集者であり,「ウェブ進化論」に出てくるようなコンサルタント・研究者の世界でなく,ウェブサイトの運営当事者の立場から見たヘビーユーザの世界が書かれています。著者の言葉を借りると,「頭の良い人」にまつわる話ではなく,「普通の人」「暇人」「バカ」にまつわる話だそうです。
実際の立ち小便を見ても注意しないような人が,ブログなどで立ち小便をしたという記述を見ると,「軽犯罪法違反ですよ」とか「通報しますた」とかコメントする。
アイドルのことを少しでも悪く書くと,書いた人を攻撃するコメントが大量に書き込まれる。
ネット上には「バカ」「クズ」「アホ」などの声が溢れかえっている。
このような事実から,ネットは心の貧しい人が他人をいじめるために,「バカ」と「暇人」が暇つぶしするために使っていると結論づけられています。そして「バカ」「暇人」は社会的地位・収入が低い傾向にあり,この類の人たちがせっせとネットに情報をアップし,忙しくリッチな人たちがそれを上手く活用する構図が出来上がってきているそうです。ちなみにリッチな人たちを,リアル世界が充実している「リア充」と呼ぶそうです。
そのほか,企業の「バカ」との付き合い方も書かれています。手っ取り早く書くと,「バカの意見は無視して OK」ということです。
それからネット上のブームは,テレビと比べていかに小さなものであるかも書かれています。2007 年のネット流行語大賞が例として出ていました。金賞の「アサヒる」,銀賞の「スイーツ(笑)」や「テラ豚丼」です。ネットのことはある程度詳しいつもりでいましたが,正直なところ 1 つも知りませんでした。
書かれている内容に全面的な同意はしませんが,読んでいて面白いです。本書の最後に書かれている「ネットは便利なツールであるが人生を変えない。リアルな世界でいろんな人と交流し,努力する人が成功する」は,もっともだと思います。