先月読んだ「日本語の作文技術」に「メモから原稿まで」と題された付録がついています。自分専用の原稿用紙を数千枚単位で注文して使う著者のメモ帳や筆記具に関する考え・メモのとり方・原稿用紙の書き方などが書かれています。
中でも特に面白かったのは万年筆に関するものです。私自身は,いちど安い万年筆を買ったものの使わなくなってしまったのですが,これを読んだら再び万年筆を使いたくなりました。とはいえ,何十ページも一気に書くようなことはないのですが・・・
以下,ペン先の滑りやすさとインクの流れの良さが万年筆の命だと感じた部分の引用です。
万年筆の長所は、長文の文章を書きつづけてもほとんど疲れない点にありましょう。とくに 100 枚以上ぶっつづけで書くようなときは、ボールペンだの鉛筆だのガラスペンだの、要するに万年筆以外のものだと、疲れ方の違いは歴然としてきます。
滑りがよいということは、書くときにペンの重さだけでインクがなめらかに流出し、ひっかかったような感じが一切ないことです。ザラ紙でなくてインクで書くための普通の紙だったら、少なくとも書いたときに音がするようでは滑りがよいとは申せません。どんなに速く書いても、原稿用紙のマス目にはいるくらいの大きさの字であれば音など全くきこえないで書けるはずです。キーキーだのスースーだのと音をたてて書いている人がよくありますが、たいていは悪い万年筆だと思ってよろしい。
インクについても書かれています。ちゃんとしたインクは「没食子酸」というものを使って製造されているそうで,日が経つにつれて色が濃くなり水にひたしても消えず,これに対してニセのインクは水で消えてしまうそうです。
数年前に自分が万年筆で書いた文字を見てみましたが,色が濃くなっていないのでニセのインクなのかな・・・
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