先日受けた取材で『なぜ手帳を使うのか? しかも IT 系企業に勤めているのになぜ紙の手帳なのか?』と質問されました。非常に単純な質問にもかかわらずうまく答えることができなかったので,いまさらながら考えてみました。
基本は,紙の手帳・電子手帳のどちらも約束を忘れて信用を失わないために使うものだと思っています。会社のスケジューラと同期ができて便利なので,紙の手帳を持つ前は長いあいだ電子手帳を使っていました。
しかし電子手帳はさっと書き込んだり,パラパラとめくって見ることができません。そして,あとから文房具に凝りだしたこともあって紙の手帳(クオバディス)に移行しました。その頃はスケジュール管理以外にも活用したいと考えて手帳術関連の本を何冊も読みましたが,細かいことを抜けばそこに書かれているのはみな「目標達成」の方法でした。
人生の目標を立て,それを細かなステップに分けて 1 つずつクリアする。その際に手帳を活用するというものです。
しかし,私の場合は人生の目標と呼べるようなものはありませんでしたし(今現在も),無理やり考えるようなものとも思えませんでしたので,目標設定関係の本もいろいろと読むようになりました。
この類の本を読むと,未来は過去と現在の延長線上にあるので,自分の今までの行き方や現在の自分を認識するのが最初にすべきことかなと感じます。
「学問のすゝめ (福沢諭吉)」の第十四編に,人が思いの外に悪事をなし,思いの外に愚を働き,思いの外に事業を遂げられない原因を次のように書いていて,似たようなことを言っているのかななどと思っています。
その源因は、ただ流れ渡りにこの世を渡りて、かつてその身のありさまに注意することなく、「生来今日に至るまでわが身は何事をなしたるや、今は何事をなせるや、今後は何事をなすべきや」と、自らその身を点検せざるの罪なり。
しばらくしてから「能率手帳」で知られる,日本能率協会マネジメントセンターの代表取締役会長 野口晴巳氏が著者である「能率手帳の流儀」を読んで感化され,一番格好悪いと思っていた(?)能率手帳へ移行しました。そのときにコールドを選んだ理由は妻から『いい歳をした男が安物を持つのはどうかと思うよ』と言われたからです(笑)。
やや話が逸れてきてしまいましたが,紙の手帳を使う理由は,電子手帳にはない使い勝手の良さ・スケジュール管理,そして自分自身を振り返って先のことを考えるためといったところでしょうか。
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