長男が 4 月から小学 6 年生になるので,そろそろ良書を読ませたいと考えるようになりました。
何か良い本がないか調べたところ「日本少国民文庫(全 16 巻)」を見つけました。「日本少国民文庫」は,昭和十年ころに「路傍の石」の著者である山本有三が『子どもが楽しく読んで心の糧とすることができるような良書を』と企画したものです。
その中ではじめに紹介したいのは全 16 巻の第 12 巻である「心に太陽を持て」です。
この本は先週買って読んだのですが,大事業をなしとげた人の物語,自身が貧しいながらも不幸な人々のために一生を捧げた働きものの話など,人間がどう生きるべきかを問いかけ,感動を与えてくれる世界の逸話 21 編が収められています。
柄にもなくゲーテの著作を読みその直後に読み始めたせいか,表現がストレート・単純に感じましたがぜひ子どもにも読ませたいと思いました。
二冊目は「日本少国民文庫」の最後の配本であった「君たちはどう生きるか」です。
実のところこの本は数年前に自分用に買って 4 〜 5 回読んでいます。先のものよりも内容は高度で,社会性やモラルについて書かれていると感じます。
主人公は中学生のコペル君。ノートを通じておじさんから様々なことを教わります。私には要約するだけの能力がないので,おじさんが書いたノートのごく一部を引用します。
裕福なコペル君が貧しい友達のためいろいろと親切にし,少しも友達が貧しいことを馬鹿にしたり上から見下していないことをほめられたときにおじさんが書いた一節です。
人間であるからには、たとえ貧しくともそのために自分をつまらない人間と考えたりしないように、また、たとえ豊かな暮らしをしたからといって、それで自分を何か偉いもののように考えたりしないように、いつでも、自分の人間としての値打ちにしっかりと目をつけて生きてゆかなければいけない。貧しいことに引け目を感じるようなうちは、まだまだ人間としてダメなんだ。
しかし、自分自身に向かっては、常々それだけの心構えを持っていなければならないにしろ、だからといって、貧しい境遇にいる人々の、傷つきやすい心をかえりみないでもいいとはいえない。少なくとも、コペル君、君が貧しい人々と同じ境遇に立ち、貧乏の辛さ苦しさを嘗めつくし、その上でなお自信を失わず、堂々と世の中に立ってゆける日までは、君には決してそんな資格がないのだよ。このことは、よくよく心にとめておきたまえ。もしも君が、うちの暮らしがいいことを多少とも誇る気になったり、貧しい人々を見さげるような心を起こしたら、それこそ君は、心ある人からは冷笑される人間になってしまうのだ。人間として肝心なことのわからない人間、その意味で憐れむべき馬鹿者になってしまうのだ。
この本を数人の人に貸しましたが,皆よかったと言っていますので,子どもには何度も目を通してもらいたいと思っています。
しかし,どうやって子どもに読んでもらうかが問題です。『読め』と言えば『イヤだ』と言うし,『読んでください,お願いします』と言えば『イヤです,絶対に読みません』と言うし...
関連エントリー
こんにちわ。
良書は確かに良書だけのことはあるのですが。
読め、と言われて素直に読む子は少ないですねー。
読ませようと思わないで、父親が読んでいる姿を見せるのが一番効果的かなー?
あと、居間にでも放り出しておくとか。(^^;
ウチの娘も、いつの間にか勝手に「良書」を手にしていることが一度ならずありました。
まあ元々、本は好き娘なんですけどね。
愛読書は井上靖の「しろばんば」だし。
おなら出ちゃっ太さん,こんにちは。
私が本を読んでいるところはよく見ているはずなんですが。真似をして子どもの目につくところへ置きっぱなしにしてみようと思います。マンガだと即食いついてくるんですけどね(笑)。