先週末,末っ子を連れて「作家と万年筆展(神奈川近代文学館)」へ行き,夏目漱石や芥川龍之介らの自筆原稿を見てきました。
その展示場の出口には小さな売店があり,いろいろな紙製品が売られています。売り物の中に展示物と同じものがあったので「えっ!?」と思って見てみると,夏目漱石が特注・愛用した原稿用紙「漱石山房原稿用箋」の複製でした。
会場内で夏目漱石の自筆原稿を見た直後のため,気分が盛り上がって用途も考えずに買ってしまいました。
この原稿用紙は,当時の「朝日新聞」新聞小説の版組に合わせて 1 行 19 字詰となっています。新聞が 18 字に変更された後も,下 1 字をあけて使うほど愛用していたそうです。
以下の引用は,夏目漱石の「文士の生活」に書かれている「漱石山房原稿用箋」の由来です。
原稿用紙は十九字詰十行の洋罫紙で、輪廓は橋口五葉君に画いて貰つたのを春陽堂に頼んで刷らせて居る。十九字詰にしたのは、此原稿用紙を拵らへた時に、新聞が十九字詰であつたからである。用筆は最初Gの金ペンを用ひた。五六年も用ひたらう。其後万年筆にした。今用ひて居る万年筆は二代目のでオノトーである。別にこれがいゝと思つて使つて居るのでも何でも無い。丸善の内田魯庵君に貰つたから、使つて居るまでゝある。筆で原稿を書いたことは、未だ一度も無い。
こんな原稿用紙を買ってしまうと万年筆が欲しくなります。
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